命が人質
2週間ほど前に初めてお会いした
医師からオーダーされた新しい治療薬の副作用などの説明を担当した
Yervoy (ヤーボイ)という免疫療法剤
自らの免疫システムをつかってがんを攻撃するのをたすける
患者さんは治療をやりたくないしまだ決めてないと
でも、家族がやってほしいという。。。
決めるのは患者さん本人だからと
その場で決めずにゆっくり時間をとって考えてきてほしいと伝えた
その後何度か電話をし
結局治療を受けることを決心し本日1回目の治療だった
このYervoy、先週バイアルを注文したのだが、なんと1バイアル260万円。。。。
計4回の治療=約1000万円
今日夕食を食べながら、
Satとそのことについてはなした
その薬をつかっても治癒は望めない
なんのためにするのかと今日一日心の中で自分にといかけていた
Hopeをいだいて
藁をもすがるおもいで治療をうける
「命が人質だから」by Sat
大好きな人が誘拐されて260万円の身代金を払えと言われたら、命と引き換えだったらなんとかしても払うと思う
どんなものにもかえられない
命というものがかかっているのに
こんなにも高額な値段設定なのも腑に落ちない
それまでの開発費が膨大にかかっているからだから仕方ないのかもしれないけれども。。。。。
高いからといって、その分効果があるという比例はない
生きることについて
日々直面する
今日1日に
Mahalo
ユーイング肉腫
ユーイング肉腫 (Ewing Sarcoma)
とてもまれな、骨に現れる肉腫
小さな子供や、10台&20台前半の若者に多く
ユーイング肉腫の患者さんの平均年齢は、15歳といわれている
昔は、手術や放射線療法が治療法として主流だったが、
現在は、手術前に6サイクルほど抗がん剤をし、肉腫を小さくしてから手術でとりのぞき
その後、さらに9サイクルほど抗がん剤をするという治療法がスタンダートとのこと
抗がん剤の内容も多剤併用で5種類、とても強い薬を使用し
毎日5日間投与を続け
それを3週間に一回行う
持続投与、副作用もつよくでるので入院してやるケースが多い
今日、受け持った24歳の患者Aさん
5サイクルまで入院でやっていたが、保険が変更となり始めて外来治療に変更となり
うちのクリニックにきた
担当の医師も、いままで入院でしかやったことがなく、今回始めて外来で
この治療をするからと私のところに相談にきてくれた
データーベースやリサーチなどを、プリントアウトし
いまの状況での一番ベストな投与方法を医師と相談して決定
朝10時から開始し、6時間かかる長い治療
入院中だと横になりながらうけれるだろうに
外来だと小さな椅子にずっと腰をかけていなければばらない
なんど声をかけても「大丈夫」とほほえんで返答してくれる患者さん
いままでの治療について、副作用でどんなものがでかたいろいろおしえてくれた
入院中だと、継続して朝も夜も医療者がいて観察できる
が、外来中は、どんな副作用がどの時期におこりやすいかを
私たち看護師が、予測して患者さんや家族につたえていくことが
早期発見&軽度なうちにケアできるので大切なこと
「入院中は1日目から、吐き気がでてくるのに今日は楽だったよ」と
スマイルを浮かべてかえっていくAさんの姿
病気と真っ向から勇敢に闘い
そして優しいAさんとの出会いに
mahalo
抗がん剤への過敏性反応
How are you feeling? (気分はどうですか?)
この言葉、患者さんに会ったときだけではなく
1日をとおしてしつこいほどいっているかも。。。。
いっていてよかったとおもう瞬間がある
昨日、自分の受け持ちではない患者Aさん
顔が赤くなっている
「今の気分はどうですか?」
と
「うーんいわれてみたら、ちょっと暑いし、手にかゆみがあるかも」
と
それを聞くと同時に、抗がん剤を止め
すぐに生理食塩水を全開で注入した
血圧&脈を測定し医師に伝えた
Aさんが受けていた抗がん剤
だいたい7回目くらいで、アレルギー反応がでるときはでる
でるときはほっておいたら重篤になる
Aさんは7年前に6回ほどその治療をうけていて
今回2回うけていて、8回目
抗がん剤のアレルギー症状はほっておくと、呼吸不全になり
命にもかかわるアナフラキシーショックにつながる
Aさんに「すぐにつたえてくれてありがとう」とつたえた
「いやいや、Mokoが今の気分は?!って聞いてくれたからだよ。助けてくれてありがとう」
ってビックハグ!!
どんな薬も患者さんにとって、いろんな反応をおこす可能性がある
患者さんは、医療者は忙しそうだからとか
これはいうほどのものではないからと
言えないことの方が多い
いう前から気づける
言いやすい状況をつくれるナースになりたい
それをおしえてくれたAさんにmahalo
一人一人のがん患者さんにとって
今日、受け持ちの患者さんのCさんの抗がん剤治療最終日
20代、乳がん初期
いつも大学生の妹さんがつきそってきれくれていた
「今日は抗がん剤治療の卒業式だね」といいながら
点滴を開始し時間をすごした」
「moko, 卒業だから、卒業証書が必要よ」
「卒業式だから最後はスピーチお願いね!」と冗談交じりで話た
最後の一滴が終了し
「卒業おめでとう」とつたえたら
Cさんの目から涙があふれた
ふりかえると、Cさんの妹さんの目にも涙があふれている
Cさんから、治療室にいる患者さんへメッセージが
「治療は大変だけど、がんをもってたいへんだけど、皆がんばってほしい
今日いきていることがすばらしい。感謝している」
と。
Cさんのメッセージをきいた、患者さんそしてご家族の目にもなみだが
気付けば自分の目にもうっすら。。。
感情移入することでいろいろとしんどくなるから心を鈍感にしているという同僚もいる
プロフェッショナルを通したいから涙は絶対に流さないという人もいる
でも、自分はやっぱりこのがん看護が大好きで
こういう患者さんの喜びや悲しみを共にしたいとおもっているから時に一緒に涙をながしても
いいかなというのが自分の考え
がん患者さん一人一人違う
患者さんだけじゃない、その患者さんを支えるご家族や友人など、その方たちのライフもある
その一人一人をその一瞬一瞬を大事にしていきたいと今日Cさんの”卒業式”に出席して
感じたこと
Cさんとその妹さんが、昨日一日通してつくってきてくれた「ありがとうプチケーキ」
この瞬間をいきていることに感謝
それをおしえてくれたCさんに
mahalo
Feel myself 自分らしく生きる
自分のアメリカ留学のきっかけの一つ
がんの新しい治療薬の副作用の皮膚障害
ちょうど10年前、大腸がんの治療薬で治験薬としてつかっていたアービタックス
という薬
従来の抗がん剤のように吐き気などがおこらないけれども
特有の副作用=皮膚障害がおこる
研究結果で、皮膚障害が多くおこるほど、薬が奏功しがんが縮小すると
日本にいたとき受け持ちの患者さんで、顔中に皮疹がでて病室にとじこもり鏡をみながら「これじゃ人にあえない。。」
と。
その患者さんに「吐き気がでなくて皮疹だけでいいでしょ。皮疹もたくさんでて薬がきいている証拠」と医師が。。。
そういう患者さんの症状コントロールを学びたいとおもい渡米した
いま受け持ちの患者さん、転移性の大腸がんで治療をしているBさん
重症な皮膚障害がでて
顔中かさぶたでおおわれてしまうほど
たくさんお患者さんがこの薬を受けてきたのをみてきたけどもこんなにひどい皮疹はなかった
痛みで笑えないほど
ちょっと顔の表情をかえるだけで痛みが顔中にはしる
たべることもできない
その薬を中断して2週間
やっと皮疹がおさまり、Bさんの
顔に笑顔がもどった
あんな状態でいきてたくない。。。こんなんだったら死にたいとおもったと
「I feel myself now」
と
自分自身でいられる、自分らしくいきられることの大切さ
そうでなかったらいくら長くいきたところで意味がないと
Bさんが伝えてくれた
どれだけいきたかというquantityでなく
その瞬間瞬間の質qualityの大切さ
自分らしさの重み
そんな大切なことをおしえてくれたBさんに心からmahalo
怒りに対して
今日怒りをあらわにするBさん
わなわなと怒りをぶつけるBさん
いろんな患者さんにも落ち着いて対応してきた自分もさすがに、拳サインを見せるBさんに身の危険を感じてもう受け持ちできないかもとチャージナースに報告
その直後初めてBさんの奥様がクリニックにきて話をすることができた
Bさん、骨髄異形成症候群という血液のがんででずっと治療をしていた
毎日抗がん剤の注射のため通院
そのときも、怒りを抱いているときが多く、スタッフからも難しい患者さんとなっていた
疾患から貧血での毎日バスで通院だけでもすごく大変だったとおもう
良くなるためにとがんばって治療していた矢先に、骨髄異形成症候群にあわせて、転移性肺がんと2週間前に診断をうけた。。。。
今日の採血結果、電解質バランスが崩れカリウムとナトリウムが極端に低くでたので緊急で点滴をして欲しいと医師より電話が
医師ももう病院へいかないといけなかったので、代わりに私から説明
点滴を受けるとはきいてなかったEtcと怒りをぶつけるBさん
点滴だけでは不十分なので内服薬もでたから帰りに薬局によって薬を貰って飲んで欲しいと説明しても、そんなことは無理だと怒鳴るBさん
そこへ奥様がきてナースステーションではなすことができ、いろいろ話をすることができた
涙を浮かべる奥様
あんなに怒る人ではないのごめんなさいって
体が辛いからくる怒りよりも
死というものに直面することからくる怒りだということがわかった
治療しても一向によくならない
既存のがんがあるなか
あらたなるがんの診断、そして治療の開始
Bさんも奥さんの家族は全て飛行機で6時間の東海岸のほうに住んでいると
助けもいない
現状がよくなるどころか
どんどん悪くなっていることへのもどかしさ
生と死と直面するなかでの不確かさ、悲しさ、無力さ。。。。。怒り
初めて奥様と話をすることでやっとBさんの状態をより理解することができた
その後Bさんのところに戻ると落ち着いて話をすることができた
怒りの裏には必ず理由がある
そのことにしっかり耳だけでなく全身で聞くこと、受け止めること、最善の方法を探すこと
が必要なんだと改めておもった
生と死
クリニックにくる患者さん
表現の仕方が違うにしろ 皆それらに真っ向から向かっている抱えている.......
そのことをおしえてくれた
Bさん
奥様にmahalo
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